2023 0709

ヴィンランド・サガ」の作中では奴隷が出てくる。彼らは、彼らの買い手である主人が所有する田畑を開墾する。もともと彼らは自分たちの土地で耕作をして生活をしていた。だが侵略によって捕縛され奴隷商人の手によって売られた。つまり、それまで持っていた土地(自分や家族を養っていける食ベ物を生産する手段)を奪われたことになる。奴隷の買い手である主人の下には奴隷の他にも奉仕人と呼ばれる人間がいる。奉仕人たちは資本(土地)を持っていないので、労働力を資本家(主人)に販売し、資本家の資本(土地)を使わせて貰って価値を創出する。奴隷と奉仕人には、役割としての違いはそこまでない。(ただ、扱われ方には酷い差がある。)産業革命が起きたイギリスでは、囲い込み(地主が小作人から土地を奪う)によって、土地から疎外された小作人たちは仕事(工業製手工業)がある都市部に流入した。土地から自由になって職業選択が自由になった言えるけれど、資本を持たずに自身の労働力を切り売りすることでしか暮らしていけない個人に決められることなんて、ほぼ無かった。「もう一度、自分たちの土地を取り戻して自給自足の生活をしよう!」とか言いたいわけではないけれど、もう少し今の自分の生き方をどうにかできないかと思う。自分を食わせていく手段として、労働力(体力と気力)を売ってそれを資本家に買って貰っている。その体力と気力を自分の食い物を作る方に向けられたら、職場への依存度を下がられるのになと思ったりした。まぁそんな単純なもんじゃないだろうけれど。