電気自動車が我が家にやって来た。運転中の母は、「これは家電よ家電」と助手席の僕に言った。今日はアディダスのハーフパンツをはいて外に出た。母はそれを見て「毛の足」と形容した。「足の毛」ではなく「毛の足」である。脱毛がここまで人口に膾炙する以前は、こんな言われは生まれ得なかっただろうし、僕の毛むくじゃらな足に対して示されたフランクな嫌悪感に笑った。母には率直にその表現が好きだと伝えた。その折に、僕が鳥取にいた時、近くに住んでいた木こりのおじさんの表現が独特だったことを話した。例えば、老人がブレーキをアクセルと踏み間違えて店の正面に突っ込むことを「飛び込む」と言ったり、オンボロの車で高速道路を移動することに対して、「あんまり飛ばすと、ちぎれるぞ」と独特な注意喚起をしてくれた。
