2023 0531

「けっきょくのところ、労働がつらいのは言葉を貧しくしていく作業だからなのだ。

 貨幣という言語ですべてを書き尽くすことができるという世界観は、貧しい。貨幣とは貧しい言葉なのだ。そこには目的しかないし、誤読の余地がない。これはビジネスの現場で運用される言語も同じことだ。ビジネス言語は貨幣そのものではない。それでも目的を達成するために誤読の可能性を最小化し、どこでもムラなく流通するものとして言葉を運用するという意味で、貨幣の論理を引き受けている。」

    柿内正午『会社員の哲学〔増補版〕』p.50

 

 仕事終わりに、友人とモツ鍋を食べた。学部生の時、同じゼミに所属していた彼とは正月ぶりだった。実家に帰る予定が無かった彼は、今年の1月2日に鳥取に遊びにきた。それぶりだった。彼の目に映ったスーツ姿の自分自身を想像した。その想像は、後ろめたさを僕に感じさせた。どう思われても仕方ないと開き直って、改札機にICOCAをタッチして、僕を見つけた彼の方へ歩いて行った。