同時期に入社した女性が談笑していた。マスクをした状態で笑うと、呼気がマスクの上部を抜ける。その呼気でその人の前髪がフワッと浮き上がって揺らめいていた。マスクをつけることで、相手の「笑う」っていう動きが自分に迂回して伝わってくる。マスクが、息継ぎの度に凹んだり、縦に伸びたりする。昼食時にマスクを外している同僚が目に入ると、見ては行けないものを見た気になる。とにかくマスクが苦手すぎて人と話すとき以外は、外している。頭が痛くなってくる。あと、僕は自分の顔に手で触れる癖がある。だから間に不織布が来ると都合が悪い。
自分の課の仕事って、周りの人の業務より難しい気がする。なんか、ハズレを引いた気にもなった。楽できるのがアタリだと思うのは精神の貧しさの顕れだけれど、たぶん覚えることの種類と量は多いと思う。早く帰りたいし、知らないことだらけだから、すぐ疲弊してしまう。先輩は優しいし、仕事の手を止めてよく教えてくれる人だ。けれど、説明が自分の処理速度では追いついていない。いっぱい教えてくれるけれど、自分の頭が回ってこないから何言ってんだコイツと、ふつふつ思ってしまう。すぐ、眠らないといけない時間になる。なんだこれ。
