2023 0330

 マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』を少しずつ読み進めている。プルーストを手に取るきっかけを、見田宗介が与えてくれた。彼の著作である『時間の比較社会学』(ちなみに、『時間の比較社会学』では真木悠介名義)のなかで『失われた時を求めて』が引用されており気になっていた。

 

「(中略)そのつぶやきがどこで始まりどこで終わるのかは正確に示すことができなかった。そのようにベルゴッド自身がとくとくと語る断章こそ、私たちの好みの断章だった。私などは、暗唱していたくらいである。作家がふたたび物語の筋をたどりだすと、がっかりした。」

                『失われた時を求めて1 スワン家のほうへⅠ』p.217

 

失われた時を求めて』を読んでいて、プルーストのとくとくと語る断章が僕は好きで、物語の筋になると主人公と同様に、がっかりしてしまう。主人公がベルゴッドの文章に抱いていた気持ちを、僕はプルーストに抱いた。