2023 0730

 夕方、草刈りをした。草刈りを条件に貸して貰った土地に鶏小屋を建てている。汗だくになった。畑で作物を作ることもできるけれど、しばらくは草刈りだけやっておこうと思う。刈払機を使っての草刈りはいい運動にもなる。刈り終わって開けた一体に、押し出されたみたいに流れこんでくる風が心地良い。管啓次郎の『本は読めないものだから心配するな』は最近読んだ本で最も心地良い本だ。まず冒頭にこんな文章がある。「ただ楽しいからおもしろいから気持ちがいいから本を読み時を忘れて物語に没入するということは、ぼくにはまるでない。未来において「何か」の役にたつと思うから、読むのだ。「贅沢な読書」や「文学の楽しみ」といった考えほど、ぼくに無縁のものはない。第一、読書は贅沢よりはるかに窮乏の原因であり、楽しみよりはるかにひどい苦痛をもたらす。」(p,8) これを読んで僕はすっかり元気になってしまった。35ページにはこう書いてある。「東次郎の旅は認識の旅だ。それは観念の旅ではない。肉体の旅、実在との出会いの旅だ。飛行機乗りだったサン=テグジュペリにのみ二十世紀「行動の文学」の傑作「人間の土地」が書くことができたように、クライドラーに乗りながら、その車と接続された一種のサイボーグのように、東次郎は思い、考える。道路をゆけばゆくだけ、多くのものごとが見えてくるし、頭ははっきりしてくる。」僕がはじめて1人で旅に出たのが、20歳の誕生日だった。尾道に行った。ひとり旅の持つ情緒というか心地良いひとりぼっちを知った。

 

(参考)

管啓次郎『本は読めないものだから心配するな』ちくま文庫 2021年

川端康成伊豆の踊子・温泉宿』1952年